東京高等裁判所 昭和43年(行コ)14号 判決
1、訴外社団法人相模カンツリー倶楽部(以下、相模カンツリー倶楽部という)のゴルフ場利用者に対し娯楽施設利用税を課すべきものとする地方税法七五条一項二号、七八条の二の規定は、憲法二一条の保障する結社の自由を制限し、集会の自由を妨げるとの主張について。
地方税法七五条一項二号、七八条の二の規定にもづく娯楽施設利用税は、本件の場合についていえば、社団法人たる相模カンツリー倶楽部の結成もしくは運営それ自体に対して課せられるものではなく、同倶楽部のゴルフ場を利用するその社員(以下、会員という)およびビジターに対し憲法三〇条および八四条にもとづく法律の定めるところによつて賦課されるものである。またゴルフはスポーツであると同時に娯楽としての面をもち、その愛好者が年々増加しつつあるとはいえ、ゴルフ場の会員となるには(その主体が株式会社組織であると、社団法人組織であるとを問わず)相当高額の経済的支出を必要とし、ビジターとしてプレイする場合にもかなり多額の出費を要し、いずれにしても相当高額な消費行為であることは公知の事実である。かような娯楽的側面を有する高額の消費に担税力ありと認めて、税法が相応の課税をすることについては、上記のごとく形式的・実質的な根拠があるのであるから、右課税がなされるからといつて、直ちに相模カンツリー倶楽部の結成、運営ないしは同倶楽部の社員としての活動を阻害するものとは考えられない。したがつて、相模カンツリー倶楽部のゴルフ場利用者に対し娯楽施設利用税を課することが憲法二一条に保障する結社の自由を制限するものということはできない。
次に同好者数名が集つてゴルフ場でゴルフ競技会を催す場合に参加者に対し娯楽施設利用税を課するのは憲法二一条に保障する集会の自由を妨げるという。
しかしながら、右利用税はゴルフ競技会それ自体に課せられるものではないのみならず、該利用税は、不特定多数の第三者の利用に供しうるものとして運営されており、かつ、社会観念上一般にゴルフ場といいうる客観的施設(相模カンツリー倶楽部がこれに該当することは成立に争いのない甲第七号証の一、二、第二六号証の一ないし三および当審証人長谷川欽一の証言によつてこれを肯認しうる)を利用してゴルフをした者に対し平等に相当額の賦課をするものであり、たまたまゴルフが同好者数名による競技会として行なわれたからといつて右課税を免れるべき事由となるものではないため、該課税のなされることが憲法二一条に定める集会の自由を阻害するものと解することはできない。
2、相模カンツリー倶楽部のごとき社団法人組織のゴルフ場を会員が利用するのに対し娯楽施設利用税を課することは憲法一四条に定める法の下の平等に反するとの主張について。
ゴルフ場の利用者に対して娯楽施設利用税を課することが形式上適法であるのみならず、実質的にも合理的な根拠が存することは前に述べたところであり、とくにゴルフ場を利用してゴルフを行うのが相当高額の消費行為を伴うため、その利用者に担税力があるとみて、当該ゴルフ場が株式会社によつて経営されているか、社団法人によつて経営されているか、あるいは利用者が当該社団法人の会員であると否とを論ぜず、一人一日につき四五〇円程度の利用税を徴収しても、法の下の平等に反するものとは認められない。むしろ右にあげた各利用者のうち社団法人組織のゴルフ場を会員が利用する場合とビジターが利用する場合とで本質的な相違があるとはみられないのに、会員が利用した場合だけにつき娯楽施設利用税を賦課しないとしたならば、それこそ法の下の平等に反するものといわねばならない。またゴルフ場の利用であるがため、社団法人たる相模カンツリー倶楽部の会員に課税しながら、ゴルフ場はもたないが豪奢な設備建物をもつ社団法人組織の日本工業倶楽部、交詢社、日本倶楽部などの会員がその娯楽施設を利用するにつき課税しないのは法の下の平等に反するというが、もし所論のような施設利用行為があり、それが娯楽施設利用税を課せらるべき要件をみたすものであるとすれば、これに対しても課税されるべきであるとはいえるにしても(地方税法七六条二項参照)、逆にゴルフ場の経営者が社団法人である場合にその社員たる当該ゴルフ場利用者に対して課税するのが法の下の平等に反するということはできない。
(多田 上野 岡垣)